江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第5回「チャーリー姉さん大好き」 江本昌子公式ホームページ

江本昌子の

著者:江本昌子

第5回  「チャーリー姉さん大好き」

毎週木曜日更新
(創刊記念 11月初旬まで毎週 月曜日・木曜日更新)

作者へのお便りをお待ちしてます。

        ↓

三女の幸子姉はハリウッドスターのチャーリーなんてらってゆう俳優に憧れて、自分のことをチャーリーと呼ばせて喜んでいる。かわいくて気品があって、話題も豊富。女の魅力にあふれて、その当時姉妹で経営していたバー「チコ」は、この三女のおかげでよく流行った。とりまきの男友達に囲まれて独身をつらぬくかと思っていたら、あっという間に結婚し、あっという間に別れて帰ってきた。一人息子をもうけて女手ひとつで育てていくことになった。

彼女は実家では甘えてしまうということで街中の歓楽街で小さなバーを営むことにした。店名は「茶里(チャーリ)」。
大人十人入ればいっぱいのカウンターだけの店だが、贅沢に豪華に改装して、思いっきり高級なバーにした。お勘定だって銀座並みで目が飛び出るほど高いのに良いお客さんが絶えず、従業員も三人と増え狭い店内はいつも活気に満ちていた。

しかし入る方も多いが出るほうも多かった。
「今日は給料日やけど、お金なあ〜い」とハリウッドスターは肩をすぼめて両手を広げてみせる。
「ないってどうすんの???」
「これがある!」
じゃ〜ん!花札を印籠のように高げた。朝方帰ってきた茶里姉は勝ち誇った顔で
「イエ〜イ!!」と親指を立ててウィンクして見せた。

ギャンブルの神様が茶里姉についているんじゃないかと思う位、彼女は博才に恵まれ、いつもほくそ笑んでいた。
本人曰く「ギャンブルってのは、香辛料みたいなもので、ちょっとした刺激を味わいたい時にするもので香辛料だらけになるとおいしくないからほどほどにね」って言ってる本人が一番ギャンブルに浸っていた。

「母の日の絵日記を教室の後ろに掲示してますので、是非ごらんください」という学校の案内文。息子の小学校三年生の時の参観日。どれどれと、茶里姉さんお気に入りの清楚な白いブラウスでおめかしして、いそいそと出かけていった。教室の後ろに張り出されている絵のほとんどがエプロン姿の台所に立つお母さんで、フライパンを持つ絵や料理をしているところ、たまに、一家団欒でお弁当を広げている絵もあって、皆ほのぼのしたお母さんを描いている。江本信太郎。息子の名前を見つけた。じゃ〜ん。どれどれ、どんな絵か知らん?そこに描かれている母親像は、黒い下着で麻雀している姿。しかもくわえタバコで。ガア〜ン。
「僕のお母さんは、いつもマージャンをしています。だから僕も早く大きくなってお母さんとマージャンしたいです」

顔から火が出るほど恥ずかしかったそうで、帰ってくるなり
「もうやめた!麻雀はもう絶対せんからね」と、皆に宣言しまくっている。しかし、店が終わると、帰ったはずの客が雀卓の前で
「おかえり〜」と待っている。エ〜ン エ〜ンとかわいく泣いてはみせるが
「ロン!」と任侠の親分さんも真っ青のいかつい顔で力強く牌をたおして見せた。

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