江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第6回「THE☆サクセスストーリー」 江本昌子公式ホームページ
江本昌子の
著者:江本昌子
第6回 「THE☆サクセスストーリー」
毎週木曜日更新
(創刊記念 11月初旬まで毎週 月曜日・木曜日更新)
作者へのお便りをお待ちしてます。
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五女のまい子姉は、開業医の奥方でとてもリッチ。昔から何が何でも結婚するのはお医者さんと決めていたので夢がかなったという訳である。彼女は、父が戦争から帰ってすぐにできた子なので、溺愛され、物は買い与える、贅沢な品は身につけるで、人一倍豊かに育てられたのである。
バー「チコ」は上から四女まで手伝ってきたが、次々と嫁いでいって、五女のまい子さん経営の時には軽食喫茶にガラリと改装した。下町にあるバーでは、どうしても品位が薄く見られがちで、まい子さんの願望のドクター夫人にはほど遠く思えたのであろう。
カレー専門店「チコ」に変身した。専門店というからには、ルーを小麦粉から焼いて、カレー粉、チャツネ、その他もろもろ、、、と思うが、ちゃうちゃう。市販のカレールー。ひどい。看板に偽りあり。尚、悪いのが、一ヶ月やっただけでカレーはもう作らん。といってやっぱりスナック喫茶に逆戻り。カレーはチコの前にある食堂に任せたってわけわかんない。
ある日、一連のお客さんが二人来られて「カレー二つ」と注文された。
「すいません、今カレーやってないんですよぉ」
「えっ、表の看板にカレーのお店って書いてあったから入ったんですけど」
「あっ、あれね。カレーの店って書いてある下にマジックで‘ウソ‘って書いてあるんですよ。わかりませんでした?」
だまされたお客さん、変な店に入ってきたなあ、と諦めてビールを一本頼んで出ようということになった。この大うそつきカレーの店は五女、六女と私七女がきりもりしていて初めてのお客さんは大体私と六女が相手をしていた。
五女のまい子姉は、‘カレーはまかせた‘の食堂から鍋焼きうどんをとって鍋に頭つっこんでフーフー食べている。ビールをつぎながら聞いてみた。
「何のお仕事されてるんですか?」
「学生です」
「へえ〜どちらの?」
「山大です」
「山大の何学部ですか?」
「医学部です」
「いらっしゃいまあ〜せ〜!!」
箸を投げ散らかして まい子さんホイホイやってきた。結局、この時の迷い込んだ子羊をまい子狼がゲットしたという恐いお話。
夢は叶うものなんだ。あはっ。