江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第32回「ソングルPART2」 江本昌子公式ホームページ

江本昌子の

著者:江本昌子

第32回「ソングルPART2」

毎週木曜日更新

作者へのお便りをお待ちしてます。

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さて、本番の日が来た。
朝6時集合。「予選で着た服で必ず来てください」と念を押されていた通り、赤のジャケットと紺のタイトスカート。リハーサルは始まった。本番では少ししか歌えないので一曲全部を歌わせてもらえる。生演奏をバックに気持ちいい。でも、カラオケと違ってエコー無しの丸ごと生声。THAT ISのど自慢!
全員歌い終わると今度はゲスト二人の歌を聞かせてもらえる。あれ?マイクが違う。エコーたっぷり。なるほどね。
それが終わると楽屋に集まり、弁当を配られ出演順の発表。私は三番目。元気な高校生男女の次だ。合格予定者は5人いるのだから私が最初の合格者かなあ、と思っていた。

さあ、いよいよ本番。30分前までに食事を済ませ、ステージ後ろの通路に並んだ。今はステージに全員座っているけれども、当時は一人ずつ舞台へ飛びでていくようになっていた。
オープニングの曲が流れ、手拍子と共にでていきズラリと並んだ。司会者が挨拶を済ませ「それではのど自慢の歌です」と演奏が始まった。ん?私、知らない。見たことないもん。司会者は出場者に笑顔でマイクを口元に持って行っている。仕方ない、ここは口パクでごまかそう。
「やだ、マイクがこっちにくるじゃない」口元にマイクが来た。
「パクパク」にこにこ
「パクパク」知らんもん
顔は微笑んでるけどひきつってる司会者。すぐ隣に移ってくれた。ホッ!
オープニングが終わるとすぐ歌合戦が始まる。先ほどの冷や汗とものすごい量のライトをあびてカーっと熱くなってきた。えらいこっちゃ。落ち着かないと、と思う間もなく もうわたしの出番。スタッフにおしりをポンッと叩かれ出て行ったが、もうあがっている。ドキドキ。
「ジョニーが来たなら伝えてよ〜♪」と唄いだしたけれども「今度のバスで行く〜」の”今度”が出てこない。頭ん中真っ白。何か伝えねば!えぇっとえぇっと、、、、口から出てきたのは「ソングルバスで行く〜♪」カーンコーン。鐘二つ!
「次の人どうぞ〜」ガクッ!楽屋でモニターを見ながらやけコーヒーを飲んでいた。ゲストの歌も終わり最後の出番だ。また順番に並び、私は高校生の次に並んでいると「あ!あなたはこっち」と腕をつかまれ中ほどに入らされた。そのままステージに立ち、今週の合格者、チャンピオンの発表の間、ど真ん中にいる私がよくTVに映し出されているのがモニターで分かる。
美しいから仕方ないかと思ったが何のことはない。合格者全員黒っぽい服を着ていたから赤いジャケットが絵面的に必要だったんだろう。なるほど。

無事、生放送も終わり出演料5千円頂きほくそえんでいたら写真屋さんがスナップ写真、集合写真を出され5千円は右から左に消えていく按配になっていた。ま、いっか。

それにしても、わたしのあがり症は誰に似たのだろう。何かにつけてあがってしどろもどろになってしまう。あれ以来、我が家ではあがってしまうことをソングルすると言っている。

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