江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第45回「道後温泉」 江本昌子公式ホームページ
江本昌子の
著者:江本昌子
第45回「道後温泉」
毎週木曜日更新
作者へのお便りをお待ちしてます。
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難民ズの会合は五女が住んでいる松山で開かれることが多い。
海を渡るのでワクワク旅行気分になれるのもいいが、何より大判振るまいしてくれるまい子姉のご合意に甘えられて財布の心配をしなく済むのがGood!
大人数で本格中華を死ぬほど食べられたり、焼肉を山ほど焼いてタヌキが出るほど煙だらけにしても目汁タラタラで食べられて、いや嬉し。
食欲を満たすと今度は温泉、3000年の歴史を持つ日本最古の道後温泉は万葉集にも「煮える湯の津」と唄われ、その単純温泉の熱いこと熱いこと。
坊ちゃん湯と言われる道後温泉本館も近くの共同湯、椿の湯も熱くて長く入ることが出来ない。
今度こそといろんな湯をめぐってはみたが、どこも熱かん湯のようである。姉の家の近くの大浴場はとびきりの熱かんの湯。
かかり湯からして"ヒェ〜"とかぶれないほど熱い。
浴槽にゆっくり入れていく足がみるみる赤くなっていく。
フ〜と大きく息を吐きながらゆっくりゆっくり腰を落としていると、目の前に六女んとこの長女典子が平気な顔して首までドップリつかっている。
「ありゃ、早いねぇ。何ともないの?」
と難民ズが不思議な顔で取りまいた。
「ちょっと事情があるもんで」とすまし顔。
「ナニ?ナニ?」
「毛ずね剃ってくるの忘れてた」
見ると黒々としたひじきがわかめのように揺らいでいる。コワっっ!
おっさんが湯から上がり脱衣所で流れ出る汗を拭いていると、バン!と勢いよく入り口の戸が開き中から湯気だらけの子が出てきた。
オ〜とその辺りにいたギャラリーがびっくりするほど湯気が煙のように立ち、誰かわかんない。
ゆでだこでもこんなに湯気は出ないやろおって位、モォモォと白い煙を立てている。
ありゃ、うちの拡子。どしたぁ?どうしたらそうなる?何があったの?完全に湯あたりしてる。
皮膚呼吸が出来ないのか、すぐさまトイレに駆け込み大ゲロ。
見かねたクールな妹裕子が背中をさすって,からあげ姉ちゃんを介抱している。本当、この人 何ちゃあ姉ちゃんの背中ばっかりさすってるわん。
韓国旅行の帰りの飛行機の中でも、にんにく食べすぎ姉ちゃんの背中さすってたなあ。
神話の時代から、人々に愛され続けている道後温泉。
ここには是非とも酸素ボンベを持参せよと私は言いたい。