江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第51回「墓」  江本昌子公式ホームページ

江本昌子の

著者:江本昌子

第51回「墓」

毎週木曜日更新

作者へのお便りをお待ちしてます。

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長い梅雨を超せなかった母のお墓は父の手作り。
どういう訳だかわからないけれども きっと余裕が無かったのであろう。ブロックを積んだコンクリート張りの粗末な墓である。
いつも2、3人が手伝いに借り出され完成するまで夏休みの半分を使った。朝早くに道具を持って1時間位歩いて行き ジリジリと暑くて作業ができなくなる頃バスに乗って帰っていた。
ある日このバス停でご褒美のアイスキャンデーをペロペロ舐めていると1台のトラックがキィーと止まった「親父さん 乗りいやあ」近所の練り物屋の大将だ。
三輪車のミゼットを大きくしたトラックで三角にとがった運転席のハンドルは丸ではなくて自転車のそれを大きくしたやつ 父は運転席の横に乗り 私と姉は後ろの帆が付いた荷台に乗せてもらった。
カマボコやチクワのトロ箱が包装されずに丸はだかで置かれているので帆の中はすんごい匂い。「キャンデーの汁こぼしちゃあいけんぞ」
と父に言われ「はい」といわれた通りひと口食べてはキャンデーの棒を外に出して練り物にかからないようにしていた。
ゴックンさあ次のひと口と棒を口に持ってきたらペロリン。まるで無い ありゃこの暑さで溶けて落っこちちゃったんだ。ショ〜ック!
このキャンデー欲しさについて来てるのに なんたる不覚 ガックシしょげてると
「そこら返のもの食べてもええよぉ」人のいい大将が後ろではい着くばってる私達に言ってくれる「わあ〜い有難う」
すぐ横の平天を取った
「うん 美味しい」と言ったが2つめは子供心に遠慮して取らなかったというか
このムンムン蒸れむれのカマボコ大会の中でいただく味はどれも一緒に思えて もういいやというのが正直なところ
やはり食卓で皿に盛られて初めて美味しいものなんだなあ。

時がたち皆で作った墓に父も入ってしまってからのこと。
我家に思いがけない不幸な事件が次から次と続いた。

急病人、大病の手術、離婚問題 心の休まる時が無くゴタゴタが続くので気味が悪くなり御払いしてもらおうということになった。
家相を見られるその方曰く ご先祖様のたたりです お墓を綺麗にとおっしゃる。
早速皆で墓に行くとコンクリートがカパッと割れて中にトカゲが巣を作っていたヒェ〜怖いすぐさま新しい墓に造り変えて拝んでもらった。

それからはビタリと事件もおさまり問題も解決した。こんなことってあるんだあと不思議に思った。
あれ以来墓参りの時は変なものが巣を作ってないか掘って掘って掘りまくってるのですんごいことになっちゃうけど父ちゃん母ちゃん許して!

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