江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第55回「馬車」  江本昌子公式ホームページ

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著者:江本昌子

第55回「馬車」

毎週木曜日更新

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昭和40年から昭和45年までの戦後高度成長時代の好景気を いざなぎ景気と言う。
日本列島を創ったとされる神、いざなぎのみことから名付けられたというのが説得力があっていいネーミングだなあと思っていたら その前に神武景気と岩戸景気があったという事を今頃になって知った。なるほど 神武景気が31ヶ月つづき 岩戸景気はそれを越えたことから天照大神が岩戸に隠れて以来の好況で名付けられたという。いいなあ
なんたって神様だもん文句の言いようがない。

この岩戸景気の時に上の姉達は青春時代を送っていた。その3人、長女 次女 三女は秋芳台へ遊びに行った。山口県にある日本最大のカルスト台地 秋芳台は 見わたすかぎりの草原に石灰岩が現れ 地下には鍾乳洞を形成している。三人はまず鍾乳洞を観光し上の秋芳台へあがってひと休み。修学旅行の生徒や社内旅行の人などで沸きかえる中 ガイドさんをみつけて説明を耳をダンボにして盗み聞き「 ここの地質は3億5千万年前の海底火山で出来た珊瑚礁で2億5千万年前の太平洋プレート運動により出来た石灰岩台地です」 フムフム 気が遠くなりそうな数字 どうしたらそんな事わかるん
やろお

「 あっ!あの馬車に乗ろうやあ」歩くのが大嫌いな茶里姉さんがタタッと走って馬車に乗り込み もう手招いている。
むこ〜の丘の上まで行ってくれる観光馬車は大人気。チャッカポコ チャッカポコのんびり速度で馬のタズナを引くおっちゃんも どこかの〜んびり。
石灰岩の無い所をクネクネと通り丘にさしかかった所でヒョイとおっちゃんは降り馬の前でタズナを引っぱり始めた。そっかあ登りの道であちこちに石が出て大変だもんね ヨッコラショッと一歩づつ力を込めて歩く。おっちゃんが馬車に座っていた時は気が付かなかったけれども降りたら目の前にいきなり馬のお尻、茶褐色に光る毛並みが歩く度 右に左に動いてオーすごーい。

ん?馬の尻尾の根元がヒョイと上がった、と同時にモコ、馬糞がもひとつモコッ。あ〜れ〜見てはいけないものを見てしまったわあ〜 しかも この馬 エサも岩戸景気なのか丘を登りきるまで 一歩前へ出るたび後ろの方もご丁寧に出るのね。力を込めて一歩でモコッ。段差で力んでモコモコ。もう誰も景色なんて見てやしない。皆 一点だけを集中ー!草しか食べない馬のそ
れは臭わないとはいえ上から落ちてくるんではないかと身をひねりかわしながらのスリル満点の珍道中。いいなあ〜のどかだなあ〜いい時代だったんだなあと羨ましく思った。

それに比べて昨今の大不況はひどすぎる。国民総生産が増えることなく減り続けてこの先どうなるのだろう。ここはひとつ、ヤマタのオロチを退治してくれたスサノオのみことに登場してもらってスサノオ景気なる時代を創ってもらおうではないか と神だのみをする私であった。

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