江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第68回「ホワイトハウス」  江本昌子公式ホームページ

江本昌子の

著者:江本昌子

第68回「ホワイトハウス」

毎週木曜日更新

作者へのお便りをお待ちしてます。

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二女の三千子姉は昭和51年まで大阪に住んでいた。いちばん最初の住まいはホワイトハウスという館。ス・テ・キ!昭和45年万国博覧会見学かたがた姉ん家へ皆でレッツゴー!住所が書いてある紙を片手に探しあてたら ありゃま普通のアパートやん。ホワイトハウスの時のなごりが少し残ってるだけで ほとんどグレーハウス。アパートの前をうろちょろ何度も素通りし、おかしいねぇ番地でいくとどうもここみたい「これかい!」って名前だけが豪華だった。

部屋は四畳半と三畳の二間だけで家具があるぶん超狭。三千子姉一家4人と私達4人、どうやって寝ましょ、川の字どころかこれじゃあチェックやね。お風呂は近くにある銭湯、あちこちに銭湯があるということは この辺は風呂が無い住居が多いのかなぁ 「乾杯〜」ホワイトハウスの晩餐会はぎゅうぎゅう詰めで超盛り上がる。
三千子姉んとこの長男裕一は「今日は遅くまで勉強ができる」と喜んでいる「何でぇ?」「だって灯りが眩しいから寝れ!ってすぐ消されるんだもん」って教育ママが聞いたらおっこるよってことを言う。 この下町のホワイトハウスには何かとよく遊びに行った。部屋は狭くても 気がねなくおいでと手を広げて迎えてくれる姉夫婦の気持ちの大きさが心地良い。いろんな所へ出かけて行ったが 中でも自転車で市場へ買い物に行くのが一番楽しかった。

大阪の下町の台所、活気があって肉も魚も野菜も新鮮。どこの店にもあめ湯が冷やしてあり、バケツ一杯のお好み焼きの具が鉄板で焼かれじゃんじゃん売れていく。果物屋さんの生ジュースはミキサー三台がそれこそフル回転で果汁100パー。揚げ物 串焼き 三平焼き。どれもこれも安くて美味しい。三千子姉は日頃 普通に歩いていてもボテッとこけるほど運動オンチなのに自転車に乗るとガラッと人が変わったように変身する。ママチャリをバァヒンバァヒン!ぶっ飛ばして暴走族もまっ青。はぐれないようくっついて行く私は 娘のミニチャリ100万回必死でこぎまくり膝ガクガク。ミス宇部と言われていた美しい三千子姉の面影はどっかにいっちゃって大阪のおばちゃんがすっかり板について ウ〜お姉さまあ〜。 狭いながらも楽しい我が家。晩酌が明日への英気の義兄さんは酒豪の姉と飲みまくり

「何といってもホワイトハウスの時が一番楽しかった」と振り返るほど活力のある良い時代だったようだ。二人の子供もひきこもる部屋なんて無い訳だから曲がることなく育つ。ぷっつり電気を消されてた裕一も その養われた集中力で一流大学へ進み、妹のひろみも今やドクター夫人。二人とも親と同じように家庭を大事にしている。核家庭で悩んでいるところにはぜひとも四畳半と三畳の生活をおすすめしたいものだ。

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