江本昌子の「ぶちおきゃん!マチャコの思い出話」 第75回「おっぱい」 江本昌子公式ホームページ
江本昌子の
著者:江本昌子
第75回「おっぱい」
毎週木曜日更新
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親はなくとも子は育つ。私を産んで母はすぐ入院したのに赤子の私は何とか育った。当時のことが知りたくて上の方の姉に聞いてみたが8番目ともなると凄いおざなり、新調のベビー服なんてある訳がない、すべて7番目に出てきた待望の長男のお下がり、男の子の服でもいいから赤ちゃんの時の写真が見たいのに これも一枚も無い、残念。母のおっぱいは早や5人目から出ないので戦後派は皆 母乳でなく粉ミルク、それでも母にだっこしてもらって授乳してもらえるだけでも羨ましい話し、母がいない私はホ乳ビンがわりのビールビンかかえてミルクを飲んでたってウッ何処かの国と同じだ。おしめはもはやヘロヘロでガーゼの様に薄くなって役に立たないので姉達のお古の木綿の服、おチンチンにボタンのもようがくっきり出て可愛かったあ〜って人ごとかい!ボタンぐらい取ってよぉ、その大量のおしめのおかげでミツ蜂マーヤの様な大きなおしりを後ろにさげてるから安定感があるのか歩きだすのも早かったそうな、ありがと。「ちょっと ちょっと もちっと情緒豊かな優雅な赤ちゃんらしさはなかっ たのぉ」と聞くと「まだいいよ 孝子なんか踏んずけられちゃったもんね」って これ以上贅沢は言われなくなっちゃった。物の無い時代の子育ては大変だったであろう けれども底抜けに明るい愛情だけは豊かに満ちていた。まして だっこもしてやることができなかった母は悔しい思いで病室の枕をぬらしていたことだろう、ビールびんをかかえてスヤスヤ寝むる純真無垢な私の寝顔を母に見せてあげたかった。
Hiroko Live → http://www.youtube.com/watch?v=QcbehEi7CjE&NR=1